うつつ

夢中

木の葉が風を泳ぎ朝日が躍る。楽しげに歌うのは鳥たち。賑やかな彼らの舞台は私の心を躍らせ、惹きつける。カーテンの外にはさぞ素晴らしい世界が広がっていることだろう。そう思う。それでも私は夢の中。

幻想と誘惑に満ちたその世界を私は掴んで離さない。再び眠りに落ちる快楽を私はもう知っているから。目覚まし時計が騒ぎ始めるのはいつものこと。時計をおさえる。静まり返る。だから私は夢の中。

 

 

覚醒

顔を洗い外に出る。私は見る。風にあおられた枯葉が大地を走り、雑草が朝日に包まれてうなだれる。鳥がくわえるのは小さな命。

効率と論理に満ちたその世界は私を掴んで離さない。私は慌てて目を閉じる。次に瞼を開いたときそこに広がるのは無限の闇ではあるまいか思いそっと目を開ける。…いつもの天井。何も語らず凛としてそこにある。

 

 

 

今日も夜がやってくる。私は再び夢の中。

 

 

                                *Henricia*

 

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コメント: 1
  • #1

    砂時計 (金曜日, 26 9月 2014 20:47)

    たけやぶやけた