落果の時を目前にして、
哀れ熟れたトマトは、リンゴを見て赤くなりたいと思ったそうな。
トホホな雑草
間違いがあったらご指摘いただきたく思います。
「細胞周期G1期、Dサイクリンの合成が促進されそれがCDK4/6と結合しG1-CDKとして活性を得る。G1-CDKは網膜芽細胞タンパク質(pRb)をリン酸化する。pRbはそれ自体DNA結合ドメインを内包せず、即ち単体ではDNAへの制御が行えない。そこで結合するDNAの発現を促進する働きを持った転写因子であるE2Fに結合してその働きを抑え込むことで間接的にDNAに対する制御を行っている。pRbがG1-CDKによってリン酸化されるとpBr(→pRb)はE2Fと分離し、E2Fはその抑制から解放される。転写因子によって活性化された遺伝子の中にはEサイクリンをコードするものも含まれ、CDK2と複合体を形成することにより活性型G1/S-CDKが生じる。G1/S-CDKは更に下流の酵素などタンパク質をリン酸化するが、同時にpRbをもリン酸化するために、正のフィードバックによる自己増幅ループが成立する。G1/S-CDKは細胞周期をS期へと進める酵素であるが、その働きの一つに、Aサイクリン-CDK2/1の複合体であるS-CDKの抑制因子CKIをリン酸化するというものがある。この作用に伴ってユビキチンリガーゼの一つとして知られるSCFが働きCKIはユビキチン化され、それを認識したプロテアーゼにより分解される。これによってS-CDKは活性を取り戻してCDC25ホスファダーゼ(→ホスファターゼ)をリン酸化、活性化させる。ところで、細胞がS期に差し掛かると遺伝子が発現しまたAPC-Hct1複合体がBサイクリンを阻害しなくなるのでBサイクリンが徐々に蓄積する(なぜこの複合体が不活性型になるのかは後述する)。BサイクリンはCDK1と複合体を形成しMPFとなる。しかしながら、このCDKは未だ不活性な状態である。先述まででは省いてきたがCDKの活性制御にはサイクリンの有無の他にリン酸の結合状態も関わっている。キナーゼMyt1, Wee1, CAKはそれぞれCDKのアミノ酸Thr14, Tyr15, Thr161をリン酸化し、これらリン酸を計3つ結合した高リン酸化CDK及びどれもリン酸化されない脱リン酸化CDKは活性を有さない。一方でCDC25によってThr14, Tyr15に結合したリン酸が共に取り除かれたCDKは活性を有する。CDC25は同時にWee1とMyt1をリン酸化によって抑制する。CDC25によるMPFの活性化はG2期の終わりに生じる。最終的にM-CDKであるMPFが核膜を崩壊させて細胞はM期に突入していく。また、MPFの活性を抑える酵素としてAPC/Cというユビキチンリガーゼがある。このユビキチンリガーゼはSCFと異なって活性を持つために他のサブユニットを要求する。そのサブユニットとして挙げられるのがcdc20やGdh1/Hct1である。Hct1はAPCと複合体を形成して、基質となるBサイクリンをユビキチン化することでMPF活性を抑制しているのだが、G1/S-CDKによってリン酸化されると不活性化し、よってMPFを抑制しなくなる。このHct1が再び活性を持つためにはhCDC14或はCDC14による脱リン酸化が必要であって、即ちCDC14の作用が細胞周期における分裂期を終了させるということになる。トマトが赤くなることとは余り関係ない。」
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砂時計 (月曜日, 01 12月 2014 19:44)
awesome!
砂時計 (水曜日, 03 12月 2014 20:26)
記事を隅々まで拝謁いたしました。生化学分野において、若輩者の私ではありますが、僭越ながら書き込みをさせていただきます。
5行目のpBrは、pRbの打ち間違いでしょうか。
13行目のCDC25ホスファダーゼは、CDC25ホスファターゼでしょうか。
しかし、頭が痛い。随分、難しいことやってるんだね。