それは想像以上に複雑な営みで。空を目指して飛び出そうとも、終には緩やかな弧を描き。
畢竟。朝の日を見るに尽きる。
『細道行脚 壱乃巻 異界見聞録』
未だ日の明けぬ時分に、狼と小松菜は呉羽に向かいへ足を進めた。空には雪が降っていた。寒空の下、呉羽の山を散策しようと考えた僕達は人の手の入っていそうな細道を探して歩くことに決めた。第一に発見した道は、私有地に繋がるようだったので断念。次いで発見した道を進んでゆくことにした。目前に広がる雪道には、猪だろうか、獣のような足跡。途中で木製の階段が途切れたことに肝を冷やしつつも歩いてゆくと、とある建物の下へと出ることができた。建物には、呉羽温泉の文字。ふむ。その後は見つけた遊歩道を進み、呉羽の山頂、なのだろうか、ともかく開けた場所へと至った。しばし休憩をはさみ、歩く。歩く。神社を見つけた。参拝。山を下り、見覚えのある道へ。道を渡り、再び山の中へ。細い道。進んでゆくと、混凝土で舗装された道に出た。上る。分かれ道を発見。この先には混凝土の道はない。怖い方かそこまでそうでもない方か。そこまでそうでもない方へ。立て看板。鳥居。稲荷神社の文字。階段。鳥居。社。参拝。再び細い道を見つける。足を進める。墓。逆方向へ。山道。神社の裏を通る道。遊歩道だろうか。推察。雪道を上ったり下ったり。滑った。やがて開けた場所へ。ここは白鳥城跡か。不明。分かれ道。上るか下るか。選択。高い方へ。山道。滑ったため慎重になる。椅子。山道。上り、下る。山道を出る。混凝土の道。歩き、再び山道。上る。滑りそう。慎重に。靴が濡れている。全体的に水っぽい。電波塔へ至る。下る。空が明るんできたような気が。人影。怖い。怯え、逃げるように下る。自然と足も速くなる。正直滑りそう。うむ。ふと、背後で足音。雪を踏む音。心臓が跳ね上がる。怖。小松菜は背後から聞こえたが、狼には横から聞こえたらしい。並走していると狼は語る。なお怯え。恐怖に苛まれ。下る。下る。目前に人工物の気配。安心。息をつく。下る。やがて既知の場所へ。いつぞや練習に使った公園。空には朝日が。安心。帰路に就く。既に恐怖は無い。朝。家へ至る。異界見聞録。
小松菜
追記 狼には多分の加筆及び修正を求む。
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