本目に属するヒトデは通常5腕であるが、Luidia属のL. maculataやL. senegalensisなどのように多腕のものもある。また、この類のヒトデは主に埋在性であり、日本近海の浅海域でもAstropectenなどが砂に浅くその体を埋没させている様子を見ることが出来る。背板は通常小柱体に覆われているが、幾つかのPorcellanasteridaeに属する種ではそれらは退化的であり、平らになっている。 皮鰓は反口側のみに存在しており、体表面に広く分布している。ただし、Porcellanasteridaeでは不明瞭である。 縁板は大きく、上下両縁板が相対するようにして並ぶ。ただし、この板に関してはLuidiidaeが例外的であり、上縁板が発達せず小柱体に覆われている。尚、水平に並んだ間縁板は無い。 側歩帯板棘は溝棘に対して並行若しくは直角に配列する。また、Porcellanasteridaeを除けば上歩帯板が存在している。 叉棘は存在する場合、火挟み型や叢生型といった無柄叉棘である。 管足は2列、先端に向かう程に細くなり、末端は吸盤を欠いた疣足。管足瓶嚢は1つか2つである。 腕背面の筋肉は発達が悪い。 肛門の開口部の有無はその科・属・種により異なり、Luidia属 Astropecten属,Leptychaster arcticus Dipsacaster sagaminusなどでは肛門を欠き、一方で、Ctenopleura属やLeptychaster anomalus Dipsacaster pretiosusなどでは肛門を有する。
(Clark., Dawney, 1992: Hayashi, 1973)
本種は1957年に新種として報告された。日本近海で普通に見られるモミジガイ属(Astropecten)とは腕の太さや形状、上縁板棘の形態などから概ね区別することが出来る。具体的には、本種は腕の中部が僅かに太くなっている感があるし、上縁板棘は小さく上縁板の上下方向に縦列している(一列に5本が並ぶこともある)。より詳細にモミジガイ属との差を以下に挙げる。本種には肛門が存在するがA.scoparius,
A.latespinosus, A.polyacanthus, A.kagoshimensis
等の日本産モミジガイ属には肛門が存在しない。本種は側歩帯板上、溝棘と腹側板棘の間のスペースに叢生型の叉棘を備えているが、モミジガイ属及び本種の近縁種であるオオニセモミジガイはこれを持たない。モミジモドキ属(Persephonaster)とは生殖巣の形態が異なるらしい。
スナイトマキは極地域からニューイングランドの大西洋岸、パナマや日本に生息する冷水を好むヒトデ。水深は2~1900mまでの浅海から漸深海まで広い範囲に適応しているが、多くは50~600mの水深で見られることが多い。より南に生息するものほど北にいるものに比べて深い水深で見いだされる(JM Shick et al, 1981)。上掲載の個体は全て富山湾産のものであるのだが、恐らく200m以深程度の水深に生息していると思われる。本種は英名で mud-star つまり「泥の星(ヒトデ)」と呼ばれ、その名の通り泥の多い環境に適応した種であり、非常に豊富な数を誇る個体群を形成する。食性は極めてエコなもので、非選択的な堆積物食者、つまり、泥の中に混ざっている生物の死骸や糞、微小な生物などを泥と一緒に飲み込んで消化するというものである。
本種を最も特徴づけるものとして、円錐状突起 epiproctal coneと櫛状器官 cribriform organ
というものがあるのだが、その説明は取りあえずここでは控えたい。管足列は二列で先端は尖っている。肛門は無く、泥や消化できなかった有機物などは口からそのまま押し出される。反口側は口側に比較して柔らかく、生時形は色々と変化し易い。穿孔板は露出しており良く目立つ。反口面は小柱体で覆われる。上縁板と下縁板は全て対合し、上縁板状には垂直上向きの一本の棘が生じるが、捕獲時の個体の状態によっては欠落してしまっていることも多い。腹側板は3~5角形程度の多角形で鱗状に配列しており、口側から見たとき、より遠位のものが近位のものの上に重なっている。一つの縁板に対応するのは2列の腹側板であり、その2列が互いに接しながら列を構成し、一つの側歩帯板に対合するというのが腹側板の基本的な並び方ではあるが、R=35mmの個体において、間輻域に存在する合計4列については歩帯溝に最も近い腹側板が二手に分かれ、それぞれが第一側歩帯板、第二側歩帯板に対合していて、一列が一つの板に対応する形をとっている。腕の1/3より先端では腹側板を欠く。側歩帯板棘は3~5本程度であって、その棘の列は口の方向を向くように並ぶ。ここまで縁板から側歩帯板まで形態を記述してきたが、隣り合う縁板同士、二列ごとの腹側板列、各側歩帯板は全て隣との間に溝を有しており、その溝の上部を覆うようにして無数の短棘が列生する。これが櫛状器官である。歩帯板は体内部にて上歩帯板によって腹側板と架橋をかけられる形で結合している。幽門胃、噴門胃、幽門盲嚢は皆、やや深緑を帯びたような黒色で反口側から透けて見えることもある。
時折背中の中央部が顕著に膨れていることがあり、これが円錐状突起というものであるが、そうでない場所も非対称的に歪に膨らんでいることがある。これは甲殻類の仲間であるシダムシか或は寄生性の巻貝が存在している可能性を示唆する。
Valvatidaのイトマキヒトデとは分類学的に余り関係は無い。