本目のヒトデは普通、盤が小さく腕は5本であり、先細かつ円筒形、横断面が円形の腕を持つ。間腕弧は狭く鋭角をなしているが、腕の近位が膨らむ傾向のあるものについては角がわずかに丸くなる。 背板は多角形か長方形、或いは丸みを帯び、幾分か凸状ではあるが平らである。また、背板は不規則な網状骨格を形成しており互いに重なりあっているが、時にEchinasterでは多かれ少なかれ明瞭な縦方向の列をなす場合がある。各板は1~数個の小棘を備えている。時々、棘は基部の板のみに限定的に存し、よく発達して大きい場合がある。 皮鰓は網目状骨格の間に群生し、乾燥標本の見かけ上からは識別しにくい上皮腺を伴う。背腹両側面に皮鰓は存在しているが、下縁板より下の領域には存在しないか、より少なくなっている。 縁板は顕著ではない。少なくとも上縁板は部分的に背板と併合している。間縁板及びその域は腕の近位にしばしば存在するが、腕の半分以上に渡って存在する場合もある。 口側の板は比較的少なく縦方向の列をなしているが、時に横方向に関しても列が成立する場合もある。側歩帯板は比較的小さく、歩帯溝に沿って生じる棘が3本を越えることは滅多にない。口板は並みのサイズで特別分化してはいない。叉棘は観察されない。管足は末端に吸盤を備えており、2列。小型の上歩帯板が歩帯のアーチ型を強化している(上歩帯板は外部からは観察できない)。
(Clark., Dawney. 1992)
今回、富山湾では少なくとも水深300~400mに生息が確認された。体色は薄い黄色で、腕基部が膨らみ、くびれている。分類学的なものも含めて学術的な知見に乏しく、未だ多くのことが不明であると考えられる。本種が公式に報告されたのは1940年のことであり、その原記載に用いられた標本は、「Yezo Strait」の 水深86fathom(約150m)
地点に産する1個体であるという。あくまで推測にすぎないが、「蝦夷海峡」とは恐らく根室海峡のことを指していると思われる。簡単に形態的な記述を記す。
背板はヒメヒトデ属共通の網目状骨格である。網目は大き目であり、その間に1~3の皮鰓を有する。上下縁板は不明瞭であって、あると言われればあるようにも思えるし、ないと言われればそれらしくも感じられる。しかしながら、腕側部に存在する背板と思われる板の中には列を作って並ぶようなものも幾らか見られ、それが上縁板の可能性も否めない。とにかく判然としないことは確かである。最も側歩帯板に近い腹側板に関しても幾分か列を形作るものの、顕著ではない。溝棘は2本。側歩帯板棘は内側のものが最も長く、外側に向かうにしたがって次第に短くなる。
画質が悪いですが悪しからず…
腕は5本で長く、円筒形。反口側の網状骨格は目の粗いメッシュ状であり、それらが明瞭な縦横列を作ることはなく不規則な並びである。各メッシュは10~13の皮鰓によって満たされている。反口側の棘は大きく顕著であり、4-5mmに達する。縁板には背板のそれに類似した棘が一つ存在する。側歩帯板は2本の内側に湾曲した棘と一つの溝棘を備える。間縁板と口側の皮鰓は存在しない。
皮膚は厚く、棘の周辺のものは肥厚して泡状に膨らみ棘を覆う。この膨らみは柔らかく空気中では幾らかしぼむ。このヒトデに触れるとふくらみの中に存在する大きな棘が手に触れるのでその存在がよくわかる。棘同士が近い場合、時にこの膨らみが隣どうし連結することもある。この皮膚肥厚部分の役割はよく分かっていない。学名のcallosusは「皮膚肥厚」を意味する「callosity」に由来する。